[問題10]8節点セレンディピティ要素と9節点ラグランジュ要素
問題
2次元四角形要素についての記述のうち、正しいのはどれか。
- 8節点セレンディピティ要素と9節点ラグランジュ要素は、どちらも要素内部に節点を持ち、要素内のひずみは1次で近似される。
- 8節点セレンディピティ要素は、各辺に3つの節点を配置し、要素内部には節点がなく、要素内の応力とひずみは1次で近似される。一方、9節点ラグランジュ要素内部にも節点を持ち、変位は2次完全である。
- 8節点セレンディピティ要素は、完全2次多項式で変位を近似し、計算コストが高い。一方、9節点ラグランジュ要素は、不完全な2次多項式で変位を近似し、計算コストが低い。
- 8節点セレンディピティ要素も9節点ラグランジュ要素もどちらも、応力とひずみは完全な2次多項式で近似されるが、要素に角度変形が生じる場合、ラグランジュ要素の方が精度が高い。
考え方
a:不正解。8節点セレンディピティ要素は、各辺に3つの節点を配置し、要素内部には節点がありません。この配置により、変位は2次多項式となりますが、ひずみと応力は1次多項式となります。一方、9節点ラグランジュ要素は、要素内部にも節点があります。
b:正解。8節点セレンディピティ要素は、各辺に3つの節点を配置し、要素内部には節点がありません。この配置により、変位は2次多項式となりますが、ひずみと応力は1次多項式となります。一方、9節点ラグランジュ要素は、要素内部にも節点があります。変位は完全2次多項式で表されます。
c:不正解。セレンディピティ要素はラグランジュ要素よりも計算コストが低いのが特徴ですが、説明が逆になっているので、不正解です。
d:不正解。後半の精度に関する説明は正しいですが、2次要素では応力とひずみは 1次多項式で近似されるので、前半は誤りです。
したがって、正解はbです。
[問題9]面積力と体積力
問題
次の4つのうち面積力はどれか。
- 重力
- 電磁力
- 風圧力
- 浮力
考え方
面積力は文字通り力の大きさが面積に比例する力を指します。面積力は原子・分子的な起源をもつ近接力であるのに対し、体積力は非接触で作用する遠達力となります。
重力:
重力は地球などの大きな質量に由来する万有引力によって生じます。物体の質量に比例して働く力であり、鉛直方向に働きます。一般的に、物体の体積と密度と重力加速度の積で表される。
電磁力:
電磁力は荷電粒子に電磁力学的に作用する物体によって生じます。電磁力は、物体の体積と物体の電荷・速度と電磁場の大きさに依存します。
風圧力:
風圧力は、大気中の風の流れによって物体によって生じます。風圧力は、風速、風向、物体の形状、表面の粗さなどに依存し、速度圧と風力係数の積で表されます。風圧力に物体の表面積を掛け合わせたものは、風荷重とよばれます。
浮力:
浮力は、流体中の物体がうける上向の力です。アルキメデスの原理により、浮力は物体が押しのける流体の重量に等しく、物体の体積と流体の密度に比例します。
したがって、正解はcです。
[問題8]対流熱伝達に関する基本法則
問題
単位面積あたりの熱流速は、物体表面の温度と流体の温度との差に比例します。この関係式は、次式で表される。
ここで、
:熱流速(W/m^2)
:熱伝達率(W/m^2K)
:物体表面の温度(K)
:流体の温度(K)
この法則の名称は次のうちどれか。
考え方
与式は、対流熱伝達に関する基本法則で、17世紀後半から18世紀前半に活躍したイギリスの物理学者アイザク・ニュートンにちなんで、ニュートンの冷却法則と呼ばれています。
ニュートンの冷却法則は、伝熱解析おいて物体の冷却や加熱過程を評価するための基本法則です。ただし、実際の熱伝達現象は複雑であり、法則の適用範囲には限界があります。高音度域や相変化を伴う状況では、放射熱伝達や相変化熱伝達を考慮する必要がある。
したがって、正解はcです。
[問題7]流体解析に関連する無次元数
問題
流体解析に関連する無次元数は次のうちどれか。
- 代表長さ()
- レイノルズ数()
- グラスホフ数()
- ヌッセルト数()
- 熱伝達率()
考え方
流体の方程式や法則は、無次元数で整理されます。無次元数は、科学者の名前に由来するカタカナ表記のものほとんどですが、カタカナ表記だからと言って無次元数になるわけではありません(例えば、エンタルピー、エンタルピー)。
代表長さ():
代表長さは、流れや熱伝達現象の特徴的な寸法を表します。例えば、管の直径、翼弦長、熱交換器の長さなどが代表長さとして用いられます。代表長さは、長さの次元を持ちます。
レイノルズ数():
レイノルズ数は、流れの慣性力と粘性力の比で表される無次元数です。レイノルズ数が高い場合、慣性力が支配的となり、乱流になりやすい。
グラスホフ数():
グラフホフ数は、自然体流における浮力効果と粘性効果の比で表される無次元数です。グラスホフ数が大きい場合、浮力効果が支配的になり、自然体流が発生しやすい。
ヌッセルト数():
ヌッセルト数は、対流熱伝達と伝導熱伝達の比で表される無次元数です。ヌッセルト数が大きい場合、対流熱伝達が支配的になり、伝導熱伝達よりも効果的に熱が伝わる。
熱伝達率():
熱伝達率は、固体表面と流体間での熱伝達の効率を示す係数です。熱伝達率は、単位面積あたりの熱流速(W/m^2)と表面温度と流体温度の差(K)の比例定数になります。熱伝達率は、流れの特性や物性値に依存します。単位は、(W/(m^2K))となります。
したがって、正解はb,c,dです。
[問題6]有限要素の種類
問題
以下の有限要素の種類に関する説明のうち、正しいものはどれか。
- シェル要素は、薄い板状の構造物をモデリングするのに使用され、膜応力を考慮しない。
- トラス要素は、構造物の質量を局所的に追加するのに使用される。
- ソリッド要素は、流体解析や伝熱解析にも適用できる。
- 剛体要素は、構造物にバネのような拘束をモデリングするのに用いられる。
考え方
シェル要素:
シェル要素は、薄い板状の構造物をモデリングするために使用される。膜応力と曲げ応力を考慮し、節点ごとに変位と回転を未知量となる。ちなみに、膜応力を考慮しないものは、プレート要素と呼ばれる。
トラス要素:
トラス要素は、棒状の構造物をモデリングするために使用される。軸方向のみに荷重が作用し、節点ごとに変位が未知量となる。回転自由度を持たない点ので、はり要素と区別される。
ソリッド要素:
ソリッド要素は、3次元の連続体構造物をモデリングするために使用される。節点ごとに変位が未知量となり、3次元の応力を計算する。ソリッド要素は連続体要素とも呼ばれており、流体解析や伝熱解析にも適用できる。
剛体要素:
剛体要素は、変形がない剛体挙動をモデリングするために使用される。剛体要素では、質量や慣性の影響を考慮することはできるが、応力やひずみは計算されない。
したがって、cが正解。
[問題5]要素タイプと計算可能な応力
問題
次のうち、各要素タイプ(はり要素、シェル要素、ソリッド要素)で計算可能な応力成分の組み合わせが正しいものはどれか。
- はり要素:曲げ応力、せん断応力、軸力。シェル要素:膜応力、曲げ応力、せん断応力。ソリッド要素:垂直応力とせん断応力。
- はり要素:膜応力、曲げ応力、せん断応力。シェル要素:曲げ応力、膜応力、軸力。ソリッド要素:垂直応力とせん断応力。
- はり要素:垂直応力とせん断応力。シェル要素:曲げ応力、せん断応力、軸力。ソリッド要素:曲げ応力、膜応力、せん断応力。
- はり要素:垂直応力とせん断応力。シェル要素:膜応力、曲げ応力、せん断応力。ソリッド要素:曲げ応力、せん断応力、軸力。
解き方
ソリッド要素は、垂直応力とせん断応力を計算できます。
シェル要素は膜応力(面内力)を計算できますが、はり要素はできません。
はり要素:
はり要素の主な未知量は、各節点における変位と回転です。通常、各節点には3つの変位と2つの回転が存在します。これらの未知量を用いて、はり要素に働く曲げ応力、せん断応力、軸力などの応力成分が計算可能です。
シェル要素:
はり要素の主な未知量は、各節点における変位と回転です。通常、各節点には3つの変位と2つの回転が存在します。これらの未知量を用いて、シェル要素に働く膜応力、曲げ応力、せん断応力などの応力成分が計算可能です。
ソリッド要素:
ソリッド要素の主な未知量は、各節点における変位です。通常、各節点には3つの変位が存在する。これらの未知量を用いて、ソリッド要素に働く3次元の応力成分が計算可能です。
したがって、aが正解です。
[問題4]はり要素、シェル要素、ソリッド要素の未知量
問題
有限要素法において、はり要素、シェル要素、ソリッド要素のそれぞれの節点における未知量の組み合わせとして、正しいものを選べ。
- はり要素は変位のみ、シェル要素は変位と回転、ソリッド要素は回転のみをもつ。
- はり要素は変位と2つの回転、シェル要素は変位と3つの回転、ソリッド要素は変位のみをもつ。
- はり要素は変位と3つの回転、シェル要素は変位と2つの回転、ソリッド要素は変位のみをもつ。
- はり要素は変位と1つの回転、シェル要素は変位と2つの回転、ソリッド要素は変位と3つの回転をもつ。
解き方
ソリッド要素は並進自由度のみですが、はり要素とシェル要素は回転自由度を持ちます。しかし、はり要素の場合、はり要素の軸と回転軸が一致すると、見た目上は回転しなくなります。そのため、はり要素はシェル要素と比較して回転自由度が1だけ減少します。
まとめると、ソリッド要素の自由度は3、シェル要素は6、はり要素では5になります。
したがって、bが正解です。
ちなみに、はり要素とシェル要素は反ることが可能なので、曲げを計算する際にこれらの構造要素を用いれば、計算時間を短縮することが可能です。